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2014年2月24日月曜日

イギリスのビールとソーセージのお話

強い炭酸が苦手なのでビールは基本、飲みません。

でもイギリスに1年いたことがあるのでイギリスのビールは時々飲みます。
日本人からすると生ぬるいビールをパブで時間をかけて飲むのが好きでした。

ケンブリッジで滞在していたゲストハウスのハウスキーパーは上品な老婦人でした。
滞在客の圧倒的多数を占めるわたしたち日本人に、イギリス文化のすばらしさを決して押しつけがましくなく折伏しようとする愛国者。

その家で二人の日本人と仲良くしていました。
最初の頃にハウスキーパーに「お勧めのパブはないか?」と尋ねると、2,3 軒紹介してくれた。それはそれは雰囲気のあるすてきなパブでした。

なんだけれど、わたしたち仲良し3人組は
「イギリス人ってほんとうにみんなこんな上品に飲んでるんだろうか?」
と疑問に思いはじめ、
ある夜、夜のケンブリッジの街に自転車で繰り出しました。
上品じゃないパブを探すためです。

道路からかなり奥まったところにあるスイスの山小屋風の巨大なパブを発見しました。
奥まったところにあるにもかかわらず、こちらまで騒がしい人声が聞こえてきます。
「ここだ!」
と入ってみると。

ものすごい混みよう。
客層は明らかに労働者階級ばかり。
扉を開けたら床に大男が酔いつぶれて寝てました。
少しひるんだのですが「これは下品でいいぞ!」と思い、酔いつぶれた大男をまたぎ越してとりあえずカウンターに行ってビターを注文。
ジョッキに入れたビターをこちらに手渡してくれる。
なんだけど、
カウンター席で飲んでる人たちの頭にビールがこぼれる
でも客は頭にビールがかかっても動じることなく話をしている。
わくわくするじゃないか。

ジョッキを手にあたりを見回すけれど席が見当たらない。
とまどっていると、大きな丸テーブルを囲んだ一団の一人が
「こっちへ来い」と手招きしている。

筋肉隆々の体に、今で言えばスギちゃん風にデニムのベストを着てモヒカン刈りの強面の男。
「うわっ、イギリス右翼かも」
と思ったのですが、とても気さくで楽しい人たちでした。
みんなで下品に飲んですてきな時間を過ごしました。


上の写真のパブはそんな下品なパブではなくて、ロンドンはベーカー街にある「シャーロック・ホームズ」。まあまあのパブでしたがお安くなかった。



ビールとともに懐かしいのがイギリスのソーセージ。

最初に食べたときには「うわっ、なんじゃこれ」と思いました。
デンプン質の混ぜ物を加えたモチャモチャした舌触りのソーセージです。

でも何度も食べているとやみつきになる。
朝食で、このインチキくさいソーセージをオーブンで表面をカリカリに焼いたやつが、焼きトマトといっしょに出てくると最高でした。


しばらく前に、イギリス留学経験者たち数人とイギリスビールとソーセージの話で盛り上がって、渋谷のイギリス風パブ「ホブゴブリン」に行きました。


ほんとのイギリスビールを出す店。

料理もちゃんとイギリス風。
シェパーズパイは、ちゃんと羊肉でグレーヴィーソースもイギリスらしいだらしないもの。 つけ合わせのマッシュポテトがもっとズルズルにゆるいといいんだけど。  

フィッシュアンドチップスもおいしかった。ちょっと上品すぎるけど、穀物の香りがする酢は「あーー、イギリスだよーー」と懐かしく、ジャブジャブかけて食べました。 



客の約半分が、明らかにアメリカ人とは違うルーニー風の顔立ちのイギリス人。
テーブル脇に立って飲んでいる人が多い。
「ああ、そうだったよな」と思い出しました。


わたしたちは当然、ソーセージを注文しました。
他のメニューはイギリスパブそのものだったのですが、ソーセージは違った!!
混ぜ物のないりっぱなドイツ風ソーセージ。
あの安っぽいモチャモチャしたソーセージが食べたかったのに。

仲間の一人は「うーーん、このソーセージはダメだ」と一言もらしたあとで、
「イギリス人の客に『Are you happy with sausages?』(このソーセージで満足なのか?)
と聞いてくる」と言いました。さすがにわたしたちは押しとどめましたが。

もうひとつのイギリスパブのチェーン店「Hub(ハブ)でもあのモチャモチャソーセージは食べられないようです。



西友でイギリスビールを2本300円弱で売っていました。
写真の「ゴールデン・エール」はその1本です。

なかなかおいしい。これが150円弱だとは!



沈黙は金なり——ソチ冬季五輪フィギュアスケート、エクシビション

フィギュアスケートのエクシビションは楽しい。

本番の緊張から解き放たれた選手たちが趣向を凝らしたプログラムを楽しそうに滑っているのももちろんいい。
フィナーレでの選手同士の交歓風景が今回はとりわけ印象に残った。
羽生結弦とソトニコワ、高橋大輔と浅田真央のシャイなカップルが、戦い終わった戦士のくつろぎとオリンピックらしいつかの間の接近を感じさせてくれました。

羽生結弦の金メダルはめでたいことです。
でもわたしは高橋大輔の技量に較べると、羽生結弦は「表現」のレベルに達していないと思っています。

二人の動きの差は「もったいないから」で書いたので繰り返しません。


エクシビションでもその差は歴然としていました。
とある方が羽生結弦の動きを「でんでん太鼓」だと評したそうです。
見事に言い当てています。胴と四肢の動きの連動がとても単純。
だからジャンプやスピン以外のときの滑る姿が退屈です。
それから。
衣装のセンスはなんとかならないんでしょうか?
ぼろ切れをまとったようなあの衣装ではせっかくの長い手脚が生きません。

体に故障をかかえた高橋大輔は「道」を滑った数年前におよぶべくもありませんでしたが、動きの複雑さと美しさにさらに磨きがかかっていました。
希有のスケーターだと思います。



わたしは生中継ではなくて、昨夜のBSでエクシビションを見ました。

メダリストの演技はみな見せるべきだと思うのですが、
女子シングル銅メダリスト、グレイシー・ゴールドの演技を放送しなかった!

演技を終わった日本選手への無意味で不快なインタビューを放送する時間を削って
ゴールドの演技を放送すべきではないでしょうか。

NHKに限らず、フィギュアスケートのアナウンサーやインタビュアーは、スケートに勝手な人間ドラマを持ち込みすぎだと思います。

「今日はどんな思いで滑られましたか?」

自分が頭の中で作っている安っぽい紋切り型の人間ドラマへの誘導尋問のようなこんな質問はほんとに不快です。
どんな選手もそれぞれの人間ドラマをかかえて滑っているのは当たり前です。
そんなことより目の前で繰り広げられる動きとその構成のすばらしさに注目し、賞賛すべきではないでしょうか。ましてや銅メダリストの演技を削るとは!

グレイシー・ゴールドの本戦での演技は、ヨーロッパ、ロシア、日本とは趣を異にする、いかにもアメリカらしさがあらわれた素敵なものでした。ディズニーランドのお姫様みたいな。エクシビションではそのお姫様ぶりをもっと自由に表現してくれるだろうと期待していたので本当に残念でなりません。



エクシビションの解説の八木沼純子はとてもよかった。
言葉少なにプログラムのポイントを的確に紹介して視聴者に演技に集中してもらうような解説。
アナウンサーが「これは何を表現しているんでしょうね?」
と愚かな質問をしたときにも沈黙で受け流す。

「沈黙は金なり」だと思いました。

そんな八木沼さんが、
高橋大輔のある瞬間のステップを見たとき
「うまい!」と小さな賛嘆の声をもらした。

沈黙の中でプロのスケーターが思わずもらした一言が、高橋大輔の技量の高さを何より見事に伝えていました。







2014年2月18日火曜日

ワインの報告

前回の投稿でスペインの「エル・ティエンポ・クェ・ノス・ウネ」が、時間経過による変化が大きそうな赤だと書きました。

一応、ご報告しておきますと。

それほど感心しませんでした。
酸味はやはり強く残って、そのこと自体は悪いことではないのですが、酸味の質がいまいち。ボディーもバランスに欠けたままの印象があります。

気を取り直して (?) 今日は「ラヴィ・アルフィ 2007」を開けました。
スペインはカタルーニャ州の赤。

これはうまい(と思う)!!

とても香り豊か。
フレッシュなベリーの系統ではなくて、熟したプラムやカシスの奥行きのある香り。
フルボディーだけどバランスが良くて、奥行きのある複雑な味わいがあります。
(ソムリエの方、具体的な記述ができないのを笑わないで下さい)
ま、要するに相当うまい。

肉が欲しくなって、やや厚めのハムをつまみにしました。



2014年2月15日土曜日

雪かき

昼近くなって風がおさまったので雪かきをしました。

車を出入りできるようにするだけではなくて、人が通れるように歩道に通路を作らなくてはなりません。わが家のまわりの皆さんは概してきちんと雪かきに出てきます。

昨年の大雪の翌日にわたしが雪かきをしていたら、二件隣の家が雪かきスコップを借りに来ました。
そう。なければ借りればいい。そういう当たり前のことができない人がいるんですよね。
仕事に出なければならないとか、体が弱いとかでないかぎり、
新聞配達、郵便配達、宅配便の人たちのためにも、自分の家の前はきちんと雪かきをしておくのがエチケット(というか社会的責任)なのに。


今年は昨年の経験を活かしてか、まわりの家も雪かきスコップを準備していました。
先週の雪より水気が多くて難渋します。
皆さん、自分ちの前だけでなくきちんと歩行できるよう道を作っている。
雪を道路に投げ出す人もいない。

若い人たちが多いのですが、みんなきちんとしていて感心します。
きちんとしてるだけじゃなくて、休日なので一家総出で楽しそうにやっている。

うちの分は写真のように積み上げました。3時間かかって汗だく。
雪国の人なら「このくらいでちゃんちゃらおかしいぜ」とおっしゃるとは思いますが。
(言い忘れました。わたしは東京の多摩東部在住です)


夜は疲れた体を癒やすために、スペインの「エル・ティエンポ・クェ・ノス・ウネ」というワインを開けました。スペインワインでは珍しいメルロー100%の赤。


ちょっと不思議で、時間が経つごとにメルローの「チェリーの香り」がどんどん控えめになっていって、代わりにフルーツ系ではない香りと味(わたしには言い当てられません)がずんと前に出てきます。でも全体のバランスはいい。

時間経過による変化が大きいワインなんですね。
なので2杯でやめて他のワインに移りました。
明日の味の変化が楽しみです。

2014年2月11日火曜日

小エビとマッシュルームのクリームソースパスタ、アンチョビ風味のミモザサラダ

クリームソース系のパスタです。
トマトを少し加えるのがポイント。

パスタはパドンニという、ストライプの入った蝶々型のものを使いましたが、
タリアテッレや太めのパスタでもかまいません。

野菜が不足するのでアンチョビ風味のミモザサラダも作りました。

ゆで卵を入れるミモザサラダは、癖のある青菜に合います。わたしは春になるとタンポポの新葉を摘んできてミモザサラダにします。

そんなわけで、今日はちょっと癖のあるサニーレタスにしました。
お好みでふつうのレタスでもかまいません。



小エビとマッシュルームのクリームソースパスタの作り方


材料(2人分)
パスタ         200g

小エビ         150g
ブラウンマッシュルーム 半パック
パセリ         適量
パルミジャーノ     大さじ3(削っておく)
ゆずの皮        適量

水煮トマト       大さじ3
生クリーム       200cc
白ワイン(または純米酒)  大さじ3
EVオリーブオイル     適量
塩・黒胡椒



【材料の下準備】
(1) パルミジャーノを削る。

(2) 小エビは背わたを取り、片栗粉をまぶしてもみ洗いした後、ザルで洗い落とす。

(3) ブラウンマッシュルームは薄切り。パセリは細かく刻む。
ゆずの皮は細かく刻む。ゆずの皮の代わりにレモンの皮でもおいしい。その場合はゆずより量を多くして下さい。

(4) 水煮トマトを金ザルなどで漉す。


【パスタを茹ではじめる】
パドンニ(色がついていないのがファルファッレ)や太めのパスタは11分くらいゆで時間が必要です。その間にソースを作ります。


【ソースを作る】
(1) フライパンにオリーブオイルを入れ、マッシュルームを炒める。

(2) 小エビを加え、白ワイン(または純米酒)を入れ、軽く塩をふる。


(3) マッシュルームと小エビに火が通ったらいったん取り出しておく。

小エビの旨味が残っているのでフライパンを洗ってはいけません。

(4) 生クリームと漉した水煮トマトを加え、塩、胡椒(黒胡椒をミルで挽く)で味を調える。数分煮詰めるし、パルミジャーノをあとからくわえるので塩味を控えめにしておきます。


【仕上げ】

パスタが茹で上がる1分くらい前に、マッシュルームと小エビをクリームソースにもどします。

パスタがゆで上がったらざっと湯切りしてクリームソースの中に入れ、パセリとパルミジャーノを入れてソースとしっかりあえます。

塩ワイン系とトマトソース系のパスタはあえる直前にソースにゆで汁を加え、パスタをしっかり湯切りして放り込むのですが、
クリームソースは、ゆで汁を加えずにざっと湯切りし、流しにソースパンを持っていって、湯がしたたる感じのパスタを放り込む方が美味しくできるようです。

お皿に盛ったらゆずの皮を散らして完成。

色が美しい!!




アンチョビ風味のミモザサラダの作り方


《材料(3人分)
サニーレタス     3~4枚(量は加減して下さい)
トマト        2個
紫タマネギ      1/3個

ゆで卵        2個

塩漬けアンチョビ   1枚
EVオリーブオイル     大さじ2弱
レモン果汁(または酢) 小さじ1弱
ナンプラー      数滴
塩胡椒        適量


【材料を切る】
(1) アンチョビは細かく刻む。

(2) 紫タマネギは薄切りにして水にしばらく晒したあとで軽く絞る。

(3) サニーレタスはサラダの大きさに切ったあと、ペーパータオルで叩いて水気を切る。
トマトも切ったらごく軽く絞る。

【ドレッシングを作る】

茹でイカやアンチョビなどの海産物をサラダに使うときに、ドレッシングに入れて混ぜておくのがポイントです。ドレッシングに旨味が出て野菜に絡みます。

オリーブオイル、レモン果汁、アンチョビ、ナンプラー、塩胡椒で味を調える。


「サラダドレッシングとサンドイッチのお話し」で書いたように、酢油ドレッシングの酢は少なめにすることをお勧めします。わたしはふだん白ワインビネガーか「千鳥酢」を使うのですが、このサラダはアンチョビを使うのでレモン果汁がいいと思います

野菜と、手のひらの上で細かく切ったゆで卵を入れてあえます。完成。





2014年2月9日日曜日

佐村河内守の代作事件:続き

昨日の続きです。

佐村河内守のゴーストライターであったことを告白した新垣隆が自分は「共犯者」だったと言ったことはおかしいんじゃないかと書きました。

新垣隆がゴーストライターであったことで何の社会的被害は生じていないと思うからです。「聴力を失った被爆二世の作曲家」という物語を信じた人は、本質的に音楽とは関係のない「物語」を信じただけのことですから、音楽的な被害は生じていない。

新垣隆はあまりにくそ真面目な人なんだと思う。
もしこの件で桐朋学園大学の非常勤を首になるとしたらほんとに気の毒なことだ。
首になるきちんとした理由がわからない。



夕食のときに娘がわたしより鋭いことを言った。

「『共犯者』なんて言う必要はないんだよ。
『佐村河内守は俺が育てたんだ』と言えばよかったんだ。『聴力を失った被爆二世の作曲家』というコンセプトで作った音楽プロジェクトでしょ。デヴィッド・ボウイが『ジギー・スターダスト』という架空のシンガーをコンセプトに曲を出したのとたいしてかわらないじゃん」

なるほどと感心しました。






2014年2月7日金曜日

佐村河内守の「代作事件」

佐村河内守(さむらごうちまもる)の「代作」事件が話題になっている。

「聴覚を失った被爆二世の作曲家」として有名になった佐村河内守が実は実質的な作曲をしていないことを、ゴーストライターである新垣隆(にいがきたかし)が告白した。新垣は会見で自分は「共犯者」だと言った。

さらに、アイススケートの高橋大輔が佐村河内守の作曲家として生き様に感動してショートプログラムの曲に採用したこともあって、佐村河内の「欺瞞」が問題にされている。

「代作」事件のあらましはそういうことだ。


複雑な要素がからまっていて単純な話ではないのだけれど、
わたしはこれがマスコミが言うほどの「事件」なのだろうかと疑問に思う。

著作権が佐村河内守と新垣隆のどちらに属するのかという点は法律上の問題。
それはとりあえず置いておいて、
新垣隆が言った「共犯者」という表現ははたして正しいだろうか。
「共犯者」というからには二人の行為が「犯罪」であったということになる。



わたしは、佐村河内守と新垣隆がやったことは(法的な論議はあまりよくわからないので)少なくとも「社会的な」犯罪ではないと思っています。


「聴覚を失った被爆二世の作曲家」という物語に感動して曲が売れたことは確かだろう。
しかしわたしはそういう物語に乗っかって音楽を聴くという態度そのものが変だと思う。

人間ドラマとして感動するのは自由。
でも音楽は作品だけが勝負なので、作者がどういう人間なのかはとりあえず関係ないんじゃないか、というのがわたしの立場です。

耳が聞こえなくなっても曲を作り続けたベートーヴェンは壮絶な人だと思う。
だけどそもそも曲がいい(と思う)。
曲が悪ければいくら壮絶な人生を送った人でも作曲家としては通用しない。
『アマデウス』で描かれたモーツァルト像がもし真実に近いとすれば、モーツァルトはどうしようもない軽薄な男。でも彼の音楽は天上の音楽です。

芸術作品は本質的にそういうもんじゃないだろうか。



佐村河内守の「人間ドラマ」に感動してCDを買う行為は、音楽を聴く行為としてそもそもおかしいと思う。



その「人間ドラマ」にしても、半分くらいはマスコミが作っていった面がある。
それに佐村河内守が乗っかってつい演技が進んでしまったんじゃないだろうか。
もちろんほめられた話じゃない。
そうだけれど、そのくらいの見栄やかっこつけに走ってしまうことは人間としておおいにあり得ると思う。みっともないけれど「犯罪」として断罪まですべきことだろうか。


わたしはたいして音楽はわからないが、佐村河内守の曲は美しいと思った。
代作だとわかった今、新垣隆はすぐれた作曲家だと思う。


ものすごい野球選手がいたとして、彼が野球選手として技量を発揮するきっかけとなったのが愛する父親の死だったとします。そういう「物語」はありがちな話です。

その物語が嘘だったとしても彼の野球選手としての価値はまったく傷を受けない。
それがわたしの立場です。
嘘をついたという「人間」としての価値は傷を受けるかもしれないが。



音楽にしろスポーツにしろ、そこに「人間ドラマ」を求めるのは変ではないか。

「人間ドラマ」は、耳に入ってくる音(音楽)や、目の前に繰り広げられる動き(スポーツ)とは関係のない、まあ言ってみれば「余談」みたいなものです。
ソチオリンピックでアナウンサーが「人間ドラマ」を語り出すだろうな、と思うと憂鬱になる(フィギアスケートの実況アナウンサーの人間ドラマ化は特にひどい)。佐村河内守をめぐるマスコミの論調に感じるのと同じ憂鬱です。



新垣隆には堂々と立派な曲を作り続けて欲しい。
がんばれ新垣隆!






2014年2月5日水曜日

犯人の迂闊か、脚本の迂闊か?——「顔」『相棒』Season12

(ネタバレあります。注意)

今日の『相棒』の「顔」、悪くなかったと思います。
思うのだけれど、腑に落ちない点が二つあります。

登場人物の名前の記憶があいまいなのでA,Bとしておきます。
整形手術でAと同じ顔になった男Bが殺されるというストーリーなのですが。

ひとつ目は。
Aをゆすっていた男が、Aの会社の前でAと出会ったときに「あなたがどなたか知らない」と言われるのですが、このAが、A本人なのかBなのかが曖昧です。

理屈から言えばBであるはずがない。
BはAの死後に整形手術を受け、その後、Aの上司と整形医に連れられてはじめてAの会社に行ったときに殺されているからです。
でもA本人なら、殺される前のはずなので「あなたがどなたか知らない」というセリフの説明が不足しています。それまでAは言うなりに金を払っていたのに、この豹変した態度は何なのか?

そこが腑に落ちません。



ふたつ目はもっとおおきな難点。
靴です。

Bが履いていた靴から右京はBにたどり着きます。

その靴はAの部屋の靴箱に置いてあった。
Aは靴のかかとを踏みつぶす癖があって、靴箱の他の靴はかかとがつぶれている。

犯人は会社でBを殺したあとで死体をAの部屋に運び、
あたかもAが自殺したかのように工作している。

犯人はBの靴を脱がせて靴箱に入れているはず。
上司である犯人は、Aが靴のかかとを踏みつぶす癖を知っていただろうし、
百歩ゆずって知らなかったとしても、
靴箱を開けたときに他の靴のかかとがつぶれていることに気づいたはず。

異質なBの靴をなぜ靴箱に入れたのか。
廃棄するのがふつうだと思う。

「犯人が迂闊だった」という説明は一応成り立ちます。
成り立ちますが、その迂闊に右京が気づかないのは迂闊。
だとすればやはり脚本の迂闊ではないでしょうか。



疑問を書きましたが、他の凡百の刑事ドラマとは一線を画す質の高さはあります。


それと。
前回から成宮寛貴の感じが少し変わった気がします。

なんと言うのでしょうか、
柔らかく右京に寄り添うような感じが出てきました。
今回はシャツの襟の形も今までとちがってた気がする。

最初に登場したときの違和感が薄れてきた。いいぞ。






2014年2月2日日曜日

菜の花のトマトソースパスタ

トマトソースは奥が深い。
イタリアでは店ごとに味がちがって、どれもおいしかった。
わたしの好みはしっかりした味のもの。
日本の店でときどき出てくる軽いシャブシャブのやつは苦手です。

今日は菜の花を入れたのですが、パンチェッタのトマトソースをベースにして季節の野菜を加えればいいと思います。

イタリアンのプロの方がきっと書いていることでしょうが、
ベーコンはパンチェッタ(塩漬け豚)の代用にはなりません。
燻製香がくどい。
わたしはカルボナーラにベーコンを使っているイタリアン(こういう店が時々ある)には二度と行きません。

ただパンチェッタはやや高い。
なのでわたしは自分で作っています(もちろん市販のものでもかまいません)。
便利な時代になったものでネットで検索すると、パンチェッタの作り方がいろいろ出ています。ご自分に合った作り方で作ってみて下さい。


菜の花のトマトソースパスタの作り方


《材料(3人前)
パスタ        300g

ニンニク       1片
タマネギ       半個
パンチェッタ(塩豚) 3枚(お好みで。多すぎない方がおいしい)
トマト水煮缶(カットしたもの)1缶
菜の花        1パック
乾燥トマト      3枚
塩漬けアンチョビ   2枚

パルミジャーノ    削って大さじ4(お好みで加減して下さい)

EVオリーブオイル   適量
白ワイン(または純米酒)  大さじ3
塩・胡椒        適量


【1 湯を沸かしはじめる】
もちろんパスタを茹でるため。たっぷりの湯に塩をひとつかみ入れる。


【2 材料を切る】
ニンニク、タマネギ、アンチョビはみじん切り。パンチェッタは適当に切る。菜の花は固い部分と柔らかな部分とを分けておく。パルミジャーノを削る。

【3 トマトソースを作る】
    (1) 鍋にパンチェッタを入れて中弱火でじっくり油を引き出す。

    (2) パンチェッタが縮んだらオリーブオイルを入れて中弱火でニンニクをじっくり炒め煮る。


    しっかり水気を飛ばします
    (3) タマネギを加えて少し火を強め、塩を振り、半透明になるまで炒める。タマネギを加えるくらいでパスタを茹ではじめる(指定時間より1分ちょっと短めに茹でる)。


    (4) トマト缶、アンチョビ、はさみで切った乾燥トマトを入れ、塩胡椒と白ワイン(または純米酒)で味を調える。
    (わたしはマージョラムをほんの少し入れます。お好みでどうぞ)


    【4 パスタとトマトソースをあえる】

    (1) パスタが茹で上がる2分前に菜の花の固い茎の部分を、1分前に柔らかな葉の部分を加える。

    (2) 茹で上がる直前にお玉1杯のパスタのゆで汁をトマトソースに入れる。
    (トマトソースの水気をいったんしっかり飛ばしておいて、パスタとあえる直前にゆで汁でゆるめるわけです。シャブシャブのトマトソースであえるのとは味がぜんぜん違います)

    (3) パスタが茹で上がったら、菜の花もろともしっかり湯切りをしてトマトソースに投入。強火にしてフライパンをあおる。またはトングで激しくかき混ぜる(ソースをパスタに食い込ませるためです)。


    【5 仕上げ】

    皿に入れて、パルミジャーノをかけたら完成です。